2010年12月12日
オーストラリアの学力は伸び悩み
7日,OECD加盟国によるPISA(学習到達度調査)の2009年度の結果が発表され,オーストラリアでも,オーストラリア教育研究所(ACER)が,オーストラリアの結果に関する分析資料を公表しました。
PISAは3年ごとに15歳を対象に実施されており、日本は前回2006年より、読解力、数学応用力、科学的応用力の3つとも順位を上げトップクラスの国に位置づけられています。特に,読解力については,前回15位から8位へと2000年の第1回調査以来の順位であり,ゆとり教育への危機感で改善がみられたと分析されている。ただし,上海や韓国,香港など日本以外のアジア諸国・地域の躍進が目立っており,日本はOECD各国では上位に位置するものの,アジアでの位置付けは低下しており,危機感をもって教育行政を行っていく必要がある。
さて、ここオーストラリアでは,今回,353校から14250人が参加,読解力515点(9位),数学応用力514点(15位),科学応用力527点(10位)と,3つの分野いずれもOECD平均を上回ったものの,読解力では,2000年調査から13点の下落,数学応用力では2003年調査から10点の下落など重大な下落が見られる。
また,今回の調査では,読解力で女子が男子を平均37点上回り,逆に数学応用力では男子が女子を平均10点上回るなど男女間格差が顕著となっている。また,学力に問題のある生徒が多いという結果もでている。オーストラリアでは,先住民アボリジニがいるが,今回の試験では,全体の3%に当たる1143人のアボリジニが受験しています。アボリジニの学力レベルは低く,非先住民との比較では,読解力で82点差,数学応用力では76点差,科学応用力では81点差となっており,概ね2年以上の学力差があるとの結果となっています。特に,日常生活に支障がでるというレベル2に達しない生徒の割合が40%を超えており,こういったところに政府がどのように支援していけるのかということが大きな課題となっています。
さらに,生徒の経済状況による影響については,オーストラリアの場合,所得と学力には相関関係が見られるとの結果となっており,所得階層を4段階に分けて,最も所得の高い層の生徒と最も所得の低い層の生徒との平均点を比較すると,読解力で91点,数学応用力で90点,科学応用力で96点の差があり,3年程度の学力格差が見られます。一般的には、中流家庭以上の家庭では、親自身が勉強してきた経験があり、勉強する必要性とか、こつを教えられるため、教育レベルも高く、所得が低い家庭はレベルが低い傾向が高いと言われています。さらに,移民家庭に多い低所得家庭では,勉強よりもお金を稼ぐ事自体に注意力もいくため,なかなか勉強の時間をとれません。必然的に,できることはとんでもなくでき,できない子はとんでもなくできないということになります。特に,リモートエリアに済んでいる人たちの中には,そもそも学校に行く必要性すら感じていない人もいるようです。
教育改革に力を入れている労働党政権ではありますが,今回の結果は,いわばハワード保守党政権での教育予算削減の結果ともいえ,ギャレット学校教育大臣も,それほど悲観しておらず,現在行っている教育改革が成果を出すのは2015年調査としています。他方で,若干人気に翳りが見えるギラード政権において,今後,アボリジニへの支援や経済格差に対してどのような政策を行っていくかが問われることになるんでしょうね。
PISAは3年ごとに15歳を対象に実施されており、日本は前回2006年より、読解力、数学応用力、科学的応用力の3つとも順位を上げトップクラスの国に位置づけられています。特に,読解力については,前回15位から8位へと2000年の第1回調査以来の順位であり,ゆとり教育への危機感で改善がみられたと分析されている。ただし,上海や韓国,香港など日本以外のアジア諸国・地域の躍進が目立っており,日本はOECD各国では上位に位置するものの,アジアでの位置付けは低下しており,危機感をもって教育行政を行っていく必要がある。
さて、ここオーストラリアでは,今回,353校から14250人が参加,読解力515点(9位),数学応用力514点(15位),科学応用力527点(10位)と,3つの分野いずれもOECD平均を上回ったものの,読解力では,2000年調査から13点の下落,数学応用力では2003年調査から10点の下落など重大な下落が見られる。
また,今回の調査では,読解力で女子が男子を平均37点上回り,逆に数学応用力では男子が女子を平均10点上回るなど男女間格差が顕著となっている。また,学力に問題のある生徒が多いという結果もでている。オーストラリアでは,先住民アボリジニがいるが,今回の試験では,全体の3%に当たる1143人のアボリジニが受験しています。アボリジニの学力レベルは低く,非先住民との比較では,読解力で82点差,数学応用力では76点差,科学応用力では81点差となっており,概ね2年以上の学力差があるとの結果となっています。特に,日常生活に支障がでるというレベル2に達しない生徒の割合が40%を超えており,こういったところに政府がどのように支援していけるのかということが大きな課題となっています。
さらに,生徒の経済状況による影響については,オーストラリアの場合,所得と学力には相関関係が見られるとの結果となっており,所得階層を4段階に分けて,最も所得の高い層の生徒と最も所得の低い層の生徒との平均点を比較すると,読解力で91点,数学応用力で90点,科学応用力で96点の差があり,3年程度の学力格差が見られます。一般的には、中流家庭以上の家庭では、親自身が勉強してきた経験があり、勉強する必要性とか、こつを教えられるため、教育レベルも高く、所得が低い家庭はレベルが低い傾向が高いと言われています。さらに,移民家庭に多い低所得家庭では,勉強よりもお金を稼ぐ事自体に注意力もいくため,なかなか勉強の時間をとれません。必然的に,できることはとんでもなくでき,できない子はとんでもなくできないということになります。特に,リモートエリアに済んでいる人たちの中には,そもそも学校に行く必要性すら感じていない人もいるようです。
教育改革に力を入れている労働党政権ではありますが,今回の結果は,いわばハワード保守党政権での教育予算削減の結果ともいえ,ギャレット学校教育大臣も,それほど悲観しておらず,現在行っている教育改革が成果を出すのは2015年調査としています。他方で,若干人気に翳りが見えるギラード政権において,今後,アボリジニへの支援や経済格差に対してどのような政策を行っていくかが問われることになるんでしょうね。
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